猫のピートじゃないけれど、夏が好きで、夏のために冬を生きていると思うことがある。 朝起きると世界はすでに美しく、窓から吹き抜ける風はやわらかい。終業後に友達に会いに行くときも、海側...
...Memories & Discoveries 25/06「岸辺露伴は動かない 懺悔室」
どうしようもなく旅に出たい気持ちになったとき、私の場合は映画を見る。 訪れたい街の景色。味わいたい空気や、音楽。それらを満たす映画は案外、現地人が撮ったものではなかったりする。旅人...
...Memories & Discoveries 25/05「トランペットの世界」
15歳の天才がいる。 児玉隼人。昨夏の日本管打楽器コンクールで史上最年少優勝を果たした、新進気鋭のトランペット奏者。5歳からコルネットを、9歳からは本格的にトランペットを吹き始め、...
...ヴェネツィア幻視行
2025年5月、noteにて旅行記の連載をスタートしました。訪れた都市や、出会った人のこと。私を形づくる大切な記憶の断片を、写真とエッセイで綴ります。 ヴェネツィア幻視行 http...
...Memories & Discoveries 25/04「花言葉をたずねて」
この2月、新国立劇場で愛するアレックス・オリエ版『カルメン』の再演に接した。 舞台は現代のフェス会場。歌姫カルメンはステージを「ハバネラ」で沸かし、一人きりの楽屋ではギターで「第3...
...Memories & Discoveries 25/03「ノクターンの創始者」
ある夜ふわりと流れてきた音楽。どこかで聴いたことがあるような、ノスタルジックなメロディ。 繰り返し聴くうち、思わずハミングしてしまっていた。調べてみると、アリス=紗良・オットによる...
...Memories & Discoveries 25/01「ベルサイユのばら」
いまから50年以上前、池田理代子が生み出した伝説的少女漫画『ベルサイユのばら』。 王妃マリー・アントワネットと、近衛連隊長オスカル。同い年のふたりの女性の激動の生涯を通して、フラン...
...謹賀新年
正月の朝、都内のホテルで朝焼けを眺めながら、テレンス・スタンプの言葉を思い出していた。 私は贅沢な放浪者(バガボンド)として、ホテル暮らしか友人の家の居候として生きています。 特別...
...Memories & Discoveries 24/12「キャロル・オブ・ザ・ベル」
待降節(Advent)第一主日は、 クリスマスの準備をはじめる日。 教会ではこの11月30日の「聖アンデレの日」に一番近い日曜日から、一週間に一本ずつ、蝋燭に火をともしていく。 1...
...Memories & Discoveries 24/10「ハープの世界」
劇場やコンサートホールで、ふいに響き渡ったハープの調べにはっとしたことがある。 私たちを一瞬で異世界に運び、天上の音楽を聴くような心持ちにさせてくれる音色。そして、美しい曲線を描く...
...Memories & Discoveries 24/08「ボレロ 永遠の旋律」
夏の終わりが近づくと、モーリス・ラヴェルの音楽が聴きたくなる。 たとえばピアノ協奏曲の第2楽章。4分の3拍子の静かなピアノ・ソロのあと、ふわりと登場するオーケストラ。繊細な弦の和声...
...HIT LIST 2024「海辺のポーリーヌ」
人生のどこかのタイミングで、ロメールの映画を観る時間は必要だ。 私にとっては15歳の夏だった。『海辺のポーリーヌ』の主人公に自分を重ね、どこを切り取っても絵になるフランスの暮らしに...
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