クラシック音楽にまつわる「人と人」の物語をひもとく音楽サロン。
第3回の主人公は、フランツ・リストと、そのパートナーで文筆家のマリー・ダグー。日記や書簡集に残された言葉や音楽を紐解きながら、ふたりの出会いと「巡礼の年」を辿ります。
9月19日(土) 18:00-19:30 朝カルオンライン
https://www.asahiculture.jp/course/shinjuku/6eeb3fa2-bb87-7a92-b99d-5efc6d98bef0
作曲家フランツ・リスト。私はモーツァルトの次に、このリストという人物が好きです。
肖像画のイケメンぶり。ベートーヴェンら名だたる音楽家の伝記にさりげなくゲスト出演し、必ず残していくイケメンエピソード。それらはもちろん魅力的ですが、なによりも気になるのは晩年--音楽界の帝王から聖職者にいたる道。
リストは人気アーティストとして「女たちを失神させた」ことに満足せず、新たな音楽様式を創造し、若き才能を育てるなど、時代を見すえる広い視野をもった革新者でした。その背後には若き日の旅、つまり「巡礼の年」と「パートナー」の存在があるのではないかと私は思っています。
そのパートナーこそがマリー、のちに文筆家となるダグー伯爵夫人でした。
マリー・ダグー、別名ダニエル・ステルン。
パリ社交界の華。1835年から1839年までの「巡礼の年」を、リストとともにジュネーブやイタリアで暮らしたパートナーで、のちのコジマ・ワーグナーを含む3人の子の母。「巡礼の年」を描いた小説を皮切りに歴史や美術の評論を執筆し、新聞王をも魅了しながら独身をつらぬき、バルザックの小説のモデルとなった「新しい女」。
彼女に贈った指輪にリストが掘らせた言葉が「深い孤独のなかで」だった――この逸話に鳥肌が立って以来、私は彼女を心の友のように感じています。リストが生涯手を加え続けた「巡礼の年」のパートナーは、望郷と孤独を共有した”魂の双子”のようにも思えるのです。
リストを不倫スキャンダルに巻き込んだ年上の女、といった薄っぺらなイメージで語られることが多かったマリー。
それならばどうして、リストは彼女との旅から傑作を作り出したのか。
どうして彼女は、作家への道に踏み出したのか。
今回のサローネは、「旅」や「ジャーナリズム」、「新しい女」といった現代につながるキーワードで、ふたりの新しい人物像を探る歴史ミステリー。
オンライン配信を心地よく楽しんでいただくため、今回は楽曲再生は最小限にとどめ、トークと朗読をメインに進行する予定です。
[予定曲目]
リスト:巡礼の年「第一年スイス」より望郷/「第二年イタリア」よりペトラルカのソネット 他
※受講者の方には、関連楽曲のオリジナル・プレイリストをお送りいたします。
リストに関しては来春、新たな企画でも深く関わることになりました。
長年の構想であり、講座でもリクエストの多い「音楽史と女性たち」の研究も、ここからしっかり形すべく目論み中。歴史に消された文化の立役者たちに光をあてるムジカサローネ、9月もぜひご一緒しましょう。
9月19日(土) 18:00-19:30 朝カルオンライン
https://www.asahiculture.jp/course/shinjuku/6eeb3fa2-bb87-7a92-b99d-5efc6d98bef0
〈注意事項〉
※新型コロナウィルス感染拡大の影響を鑑み、本講座はオンラインセミナーアプリ「Zoom」ウェビナーを使ったオンライン講座として行います。Zoomは簡単にダウンロードでき、パソコンやタブレット、スマートフォンで配信を見ることができます。受講者側のお名前や映像、音声は配信されません。
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