三重県総合文化センターの情報誌「M NEWS(エムニュース)」の連載コラム。
音楽がどんな経緯で生まれたのか。
どんな時代、どんな人に愛されたのか――そんな「ミュージックシーン」を切り口に音楽にアプローチしています。
第4回のテーマはなんと、好評をいただいた前回のマリー・アントワネットにちなんで、彼女の実家「ハプスブルク家」に。
なかでもやはり、生誕300年に沸く“お母さま”マリア・テレジアが主人公です。
さて、去る3月5日、三重県総合文化センターでのカルレクサロン「マリーアントワネットの音楽会」が無事終了しました。
写真は、センター中庭中央にあるニキ・ド・サンファル「ナナ」像。
いつもコラムを読んでいただいている皆様にお会いできるのが楽しみでしたが、伺ってみると土地柄なのか、女性たちがほんとうに元気!
「ナナ」の自由と解放は、そんな三重の女性たちの象徴のようです。
今回のカルレクサロンは、公共施設の中にいかにして18世紀のサロンを作りあげるか、という果敢な試みの結晶でした。
招待状。CDの淡いブルーを基調にしたテーブルセッティング。朗読を引き立てるキャンドル演出——工夫次第で、こんなにも喜んでいただくことができるんだ、という発見の連続でした。
津市・りおん菓子店のクグロフ(下写真)もおいしかった!
なにより初対面同士のお客様たちが、音楽やお菓子をきっかけに打ち解けていく様子に多幸感。そこはまさにサロンでした。
地方に生まれ、少女時代は図書館でヨーロッパの歴史物語に焦がれつづけた私にとって、東京を生きることと引きかえに味わえる完璧な美の世界は、もはや欠くべからざる糧のようなものです。
けれど、こうして地方の公共ホールで「かつての自分」のような女性たちに出会うたび、使命感と喜びを新たにするのです。
こういう読者がいてくれる限り、私は書き続けようと思う。
もっと売れて、どこに暮らす人にも届きやすい場所から、たくさんの美の世界を紹介したいと思う。
そんな思いで、いっぱいになった旅でした。
遠くは県外からもご来場のみなさまに、深く深く、感謝いたします。そしてスタッフのみなさまに、心より御礼申し上げます。
次回のコラムには、ハプスブルク帝国の黄昏を生きた“あの皇妃”が登場します。
MNEWS CLASSIC、今後もお楽しみに!
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