乙女のラ・フォル・ジュルネ案内2017 [後編]

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ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017、いよいよ東京にて開幕!

今年のテーマは「ラ・ダンス  舞曲の祭典」。休憩なし1時間のショート・プログラムに、映画感覚のチケット代(1500~3000円程度)で楽しめるコンサート――この春、映画『ラ・ラ・ランド』にときめいた向きにも、強力プッシュしたい「クラシックフェス」である。

大きめホールの公演は、まだまだチケット入手可能。4年ぶりの「乙女のラ・フォル・ジュルネ案内」後編では、今年の音楽祭で実際にどんな音楽が演奏されるのか、ダンスが印象的な映画のタイプ別にご紹介していきたい。

※本文中の【数字】は公演番号です。最新タイムテーブルや残席情報は、随時公式サイトをご確認ください。

※5/5 15:00より、現地(ソムリエカウンター)にて直接ご案内しております。ぜひお声かけください。

 

ダンス映画別コンサートガイド

[type1] 山猫(ルキノ・ヴィスコンティ、1963)

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「踊る映画」といえば、まずは永遠のあこがれ、舞踏会。やっぱり白いドレス(を意識したワンピースも可)を着て、公演の合間にはシャンパンで乾杯したい。そんな同志にお勧めする、確信犯的王道だ。

そんな山猫派にぴったりなのは、3拍子のリズムに喜怒哀楽をつめこんだ「ワルツ賛」【112】や、華やかな演奏で「ウィーンの夜会」を再現するニコラ・ドートリクール【226】。フォル・ジュルネ発祥地から駆けつけたロワール管弦楽団による「死の舞踏」や「ボレロ」【213】、萩原麻未とロワール管によるラヴェル「ピアノ協奏曲」【313】、小山実稚恵とウラルフィルによるショパン「ピアノ協奏曲第1番」【315】も楽しみだ。

今回のテーマにおける最大の発見は、ベートーヴェンの交響曲【114】【115】やモーツァルト&シューベルトの室内楽【341】にも、優雅な「ダンス」が潜んでいるということ。ローザンヌ声楽アンサンブルによるブラームス「恋と愛のワルツ」【242】なんていう魅惑のプログラムも。幕間は、カフェやレストランも豊富な丸の内仲通りを散策しつつ、乙女気分を楽しんで。

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山猫 [DVD]

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[type 2] バレエ・リュス(ダン・ゲラー、2007)

f:id:otome_classic:20170503223211j:plain「ダンスのためのクラシック」と聞いて、誰もが思いつくのがチャイコフスキーやストラヴィンスキーの「バレエ音楽」ではないだろうか。

なかでもフランス生まれの音楽祭らしく、ちょっぴりダークな「バレエ・リュス」気分が味わえるのがラ・フォル・ジュルネ。ロシア貴族とココ・シャネルが微笑み、ピカソとサティが語り合い、フィツジェラルド夫妻やヘミングウェイも集った社交場。そんなすばらしき時代の「パリ」へトリップしよう。

バレエ・リュス派なら、まずはチャイコフスキー・プログラム【212】【312】を狙い撃ちすれば間違いない。ラフマニノフ「交響的舞曲」【214】や、ストラヴィンスキー「火の鳥」や「春の祭典」をフィーチャーした【146】【345】まで、お好みによってさまざま取り揃えている。

バロックダンスといった、宮廷舞踊の歴史が味わえるのも今年のテーマならでは。新潟会場でも絶賛されていた上野星矢とオーヴェルニュ室内管によるバッハ「管弦楽組曲第2番」【241】なども、過ぎ去りし時代のエレガンスそのものだ。

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バレエ・リュス 踊る歓び、生きる歓び [DVD]

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[type 2ブエノスアイレス(ウォン・カーウァイ、1997)

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ラ・フォル・ジュルネの魅力のひとつは、王道からワールドミュージックまで味わえる、間口の広さ。東京に先だって開催された新潟会場でも、印象的だったのがもりだくさんのラテン・ミュージック! フラメンコにタンゴ、ファンダンゴの哀愁。帰宅してからも、ひさしぶりにこの映画のすばらしいサントラ(メインはピアソラ!)を聴きまくっている。

ブエノスアイレス派なら、まずは音楽祭のディレクター、ルネ・マルタンがMCを務めるル・ク・ド・クール(ハート直撃コンサート)【216】へ。初来日のメキシコのファンダンゴ・バンド、テンベンベも出演するほか、タンゴが大好きなマルタンの「ダンス」への思いも聞けてしまう。「ピアソラが完売だった!」とお困りの向きは、その弟子リシャール・ガリアーノご本人の公演【245】などを試してみて。ミヨー「屋根の上の牡牛」【342】やフラメンコ歌手が登場するファリャ「恋は魔術師」【147】、アダムス「主席は踊る」【243】などなど、20世紀以降に生まれた「世界のクラシック」が、あなたとの出会いを待っている。あらゆる偏見を取り外して、まずは飛び込んでみよう。

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ブエノスアイレス [DVD]

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[type 2]ラ・ラ・ランド(デイミアン・チャゼル、2016)

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普段はコンサートホールに足を運ばないという人も、デニムにスニーカースタイルで立ち寄って、生音に震えることができる――そんなカジュアルな雰囲気も、フォル・ジュルネの人気のひみつ。今年はとくに、実際に踊れるフロアも出現するということで、「フォル・ニュイ!(イカれた夜)」的盛り上がりも期待できそうだ。

小曽根真【116】【244】や狭間美穂【142】といった各世代のジャズの旗手たちが活躍するほか、フランスでも大人気の林英哲の和太鼓【215】【346】が今年も登場。タン・ドゥンの「パッサカリア~風と鳥の秘密~」【344】では、アプリをダウンロードしたスマホで演奏に「参加」することもできる。

そして最終日のラストは、ホールAのファイナルコンサート【316】に全員集合!

21:30スタートという、常識ではありえない時間帯に繰り広げられるのは、世界のダンスを濃縮して一気に味わうガラ・コンサート。パートナーと、にぎやかな友だちと、もちろんおひとりでも。一年に一度の“フォル・ニュイ”でお待ちしております!

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Ost: La La Land

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ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017

5/4(木祝)-6(土) 東京国際フォーラム

「ソムリエカウンター」(無料)

日時:5/5(金祝) 15:00-17:00会場:東京国際フォーラム ガラス棟B1F チケットカウンター横

12年目のソムリエール、今年も楽しみにしています。質問がなくても、交流こそが喜び。みなさまどうぞ、お気軽にお声かけください!

www.lfj.jp

 

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