ライフ・イズ・カラフル!

70周年を迎えたファッションブランドの創始者、ピエール・カルダン。未来的なコスモコール・ルックで若者を熱狂させたモード界の革命児――その名とイメージはよく知られていますが、彼の人生がこんなにも自由と気高さに満ちているなんて、この映画を観るまで知りませんでした。

モードを民主化した 天才デザイナーの98

98歳のいまも精力的に活動するカルダンは、1922年生まれ。映画は、ファシズムが台頭するイタリアからフランスへ逃れた幼い頃の記憶に始まります。

一流メゾンで修業し華々しいデビューを飾りながら、「私の目標は一般の人の服を作ること」と宣言、特権階級の白人だけが顧客だったオートクチュールから脱却するカルダン。彼はその後もライセンス契約の導入、アフリカ系・アジア系モデルの起用、現代家具のデザイン、劇場「エスパス・ピエール・カルダン」の経営、老舗レストラン「マキシム・ド・パリ」のリベンジ買収など、ファッションに留まらないライフスタイル革命を成し遂げていくのです。

「成功も失敗もあるが、自分にとって楽しいことをやっているだけ」

そんなカルダンの人生は、イタリアの太陽のようにカラフルな彩りで、すべての人を包み込みます。幕切れにはきっと、誰もがカルダンのファンになっているはず。

高田賢三が「こんなにハンサムな人がデザイナーだなんて」と衝撃を受けたという、若き日のカルダン。

パートナー、アンドレ・オリヴィエや名女優ジャンヌ・モローとの運命的な恋にも納得です。ミューズだった日本人モデル、松本弘子(下中央)の美しさにもご注目を。

©House of Cardin – The Ebersole Hughes Company

『ライフ・イズ・カラフル! 未来をデザインする男ピエール・カルダン』
https://colorful-cardin.com/

(25ans 2020年10月号 初出)

 

連載|25ans CULTURE CLUB

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