OTTAVA Domenica 第8回「スペインの世紀」(11月23日放送)

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今週のOTTAVA Domenicaは、新国立劇場オペラ講座第2弾!

音楽ヘッドコーチ・指揮者の石坂宏さんによるピアノ演奏付き『ドン・カルロ』大解剖……ということでテーマは「スペイン」。

満を持して、青池保子の名作『エル・アルコンー鷹ー』も登場します。
(オペラと同時代、フェリペ2世の黄金の世紀が舞台だから!)

『ドン・カルロ』って群像劇なんですよね。

今回のインタビューでわたしが惹かれたのはフィリッポ2世(フェリペ2世)。
スペイン黄金の世紀の執政者とはいえ、彼は孤独な王です。

政略結婚のためフランス・ヴァロワ家から嫁いだ若いエリザベッタ(エリザベート、あの「王妃マルゴ」の姉)には愛されず、息子には反逆され、信じる者もなく、晩年には自分の娘ほどの歳の女王エリザベス1世の英国に、無残に敗れるのです。

ピアノで旋律を解説してもらったことで、彼のドラマティックな陰りに気づき、たまらなく気になっています。

 

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同様に、魅力的なのがエボリ公女。

カルロとエリザベッタの恋を邪魔する少女マンガのライバル役的美女ですが、モデルは名門貴族メンドーサ家の令嬢アナ。なんと右目に眼帯がトレードマークという、少年ジャンプもびっくりのキャラ立ち。勝気なアリアもすてきです。

番組では、『コロンブス時代のスペイン音楽』やスカルラッティのソナタ(ギター版)といったNAXOSの名盤から最新オペラ『アイダナマール』、まもなくMETライブビューイングで上映される『カルメン』や『セヴィーリャの理髪師』など、あらゆる角度から「スペイン」を大特集しました。

 

【3時のモーツァルト】
ピアノ協奏曲第21番 K.467

 

【きょうの朗読】
プッチーニ: 歌劇『つばめ』より「ドレッタの夢の歌」

 

【麻衣のオススメ】
青池保子『エル・アルコン―鷹―完全版』(秋田書店)

30年の時を越え今なお人気を誇る『エロイカより愛をこめて』の作者、青池保子の初期代表作。舞台は16世紀後半、エリザベス1世統治下のイギリス。海賊「キャプテン・レッド」と敵国スペインと内通する英国海軍将校ティリアン・パーシモンの出会いにはじまり、終盤はアマルダの海戦に突入する歴史ロマン、堂々の登場です。

なぜ今週のオススメなのかというと、この作品の人気悪役ティリアンがスペイン貴族の末裔にしてスパイという設定であり、時代背景となるスペイン帝国の最盛期に君臨したのが、フェリペ2世(フィリッポ2世)をはじめとするオペラ『ドン・カルロ』の登場人物たちだから。物語の終盤で登場するアマルダの海戦の敗北は、ドン・カルロスの死から20年、フェリペ2世の晩年の出来事でした。そう、『ドン・カルロス』はスペインの斜陽を象徴する事件、“太陽の沈まぬ帝国”のダークサイドだったのです。

完全版には表題作のほか、『七つの海七つの空』『テンペスト』を含むティリアン三部作を収録。野望に燃える男の生きざまを目撃せよ!

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