HIT LIST 2014 vol.1 「美しき女たち」

2014年は、さまざまなスタートの年でした。

このSalonetteのリニューアルもそのひとつ。1年の終わり、アルバムの写真を整理するように、ゆったりとすてきな思い出を振り返りました。 感謝をこめて、恒例のHIT LISTをご紹介します。

ART

Teaser of "Reincarnation," new film by Karl …

今年もたくさんの展覧会を観ましたが、興味深かったのは「ファッション」とアートの関係性。

国立新美術館の「バレエ・リュス展」のような例もあるけれど、ポーラ美術館のホスピタリティや、ディオールやエルメスの特別展など、各社のメセナ活動から目が離せません。

メゾン創始者が“ピグマリオン”を自負するシャネルでも、その精神は受け継がれています。展覧会やコンサートはもちろん、2014/15パリ‐ザルツブルク メティエダール コレクションはそれ自体がアート。

舞台は、ザルツブルク郊外にある壮麗なレオポルツクロン城(わたしがサマースクールで通った思い出の地!)。

「シシィ」の愛称で愛された皇妃エリザベートが生きた19世紀末からインスピレーションを得たカール・ラガーフェルドは、この地方の伝統衣装をモダンなラグジュアリーに仕上げました。カーラ・デルヴィーニュとファレル・ウィリアムスを起用したショートフィルム「Reincarnation」が、まさに夢のように美しい!

BOOK

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ラジオOTTAVA Domenicaの人気コーナー「日曜日の本」でご紹介した英国ミステリー。エンターテインメントと音楽愛をかねそなえた作風で、リスナーのあいだでも好評をいただきました。読者の輪が広がっていくのは素直にうれしい!

同じく2014の出会いといえるのがオリヴァー・サックス『音楽嗜好症』(ハヤカワノンフィクション)、菅野文『薔薇王の葬列』(秋田書店)、田島列島『子供はわかってあげない』(講談社)、吉田健一『ヨオロッパの世紀末』(岩波文庫)、ロジーナ・ハリソン『おだまりローズ』(白水社)などなど。未知なる本との出会いもまた、いつだってうれしいもの。

CINEMA

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これもOTTAVAでご紹介して、あやうく収録中に声をつまらせてしまった映画『アルゲリッチ 私こそ、音楽!』。

世界最高のピアニストのひとりマルタ・アルゲリッチの素顔を、実娘ステファニー・アルゲリッチが描き出したドキュメンタリーです。原題はBloody Daighter。その名のとおり、音楽映画の皮をかぶった完全なる「家族の肖像」。母と娘の愛と葛藤が胸をつく。

DRESS UP

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プレスとしてはじめて参加した東京国際映画祭も印象深いものでした。個人的ベスト・ドレッサー賞は『紙の月』の主演女優・宮沢りえさん。吉田大八監督、池松壮亮さんという騎士たちにかしずかれた、完全なる「レッド・カーペットの女王」でした。その場を圧倒する自信と輝きが群を抜いていたので、最終日の主演女優賞の受賞も納得。ドレスアップの意味と、彼女の人気再燃の理由を目の当たりにした出来事でした。

ELEGANCE

浦久俊彦『フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか』(新潮新書)。なにより感動したのは、フランス留学の経歴をもつ著者によるエレガンスとシックの解説でした。19世紀の芸術サロンの女主人たちがもっていた知性とはなにか。失神する女たちの背後にあるものはなにか。「情報をいくら積み重ねても、知性にはならない」の一文に、日ごろの思いを代弁していただいた気分。

やっぱりわたしは、女性の聴衆の視点からの音楽史をきちんと研究し、著したい。マリー・ダグー伯爵夫人にコジマ・ワーグナー、古今東西のサロニエールたち、もちろんポンパドゥールやマリー・アントワネットも。歴史から無視され、あるいは軽んじられてきた文化の立役者たちに光を当てたい!

FRIENDS

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NHK土曜ドラマ『ダークスーツ』のレトロな衣装もすてきだった女優の小橋めぐみさん。

彼女は私の、ポンパドゥール同好仲間でもあります。ちょうど1年前の正月に「歌舞いていこう!」と誓い合ってから、彼女とは歌舞伎にオペラにスウィーツにと出かけては、歴史から美容法、人生までを語り合いました。

おなじ光を信じて、熱く語りあえる友だちがいることはなによりの財産。新年には、新たな計画を発表できますように!

GIRLS BE AMBITIOUS!!

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トークショーや講演をとおして、20歳前後の同志の女性たちとたくさんめぐり会えた1年でもありました。

彼女たちの存在は、私の希望です。実用ばかりが重んじられる世の中だけれど、きっと未来には、音楽や歴史を「知ること」を軽やかに愉しむ洗練された文化が戻ってくるに違いないと信じさせてくれました。

21世紀末のロココ。そのときのために、わたしは発信をつづけていくのです。

HISTORY

FRaUマンガ大賞(講談社)を筆頭に、選書をさせていただく機会も増えました。絶対に挙げていたのが萩尾望都『王妃マルゴ』やさいとうちほ『とりかえ・ばや』。2015年は 「世界史系少女マンガ友の会」を正式に結成したい!

(Vol.2へつづく)

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