4月。新しい世界のはじまりに、胸躍る季節ですね。
私は7年ぶりに、音楽史の本の執筆を進めています。そしてモーツァルトやベートーヴェンといった歴史をたどりながら、いま「クラシック」と呼ばれている音楽が、作曲家が生きた当時には最先端だったこと、人を楽しませるポップスの要素もたくさんあったことを痛感しています。
ちょうど昨年末から、20代~30代前半の作曲家やアーティストたちとお仕事をご一緒したり、お話を伺ったりすることが重なったせいかもしれません。今月の「クラシック・プレイリスト」では、新世代作曲家特集と題して、私が「未来」を感じている彼らの音楽をご紹介したくなりました。
全国38のFM局で放送中のラジオ『Memories & Discoveries』。
ひさびさの書き起こしで、OAの臨場感をお伝えできれば幸いです。
1) The future of piano/鍵盤男子(4/17放送分)
朝倉あき: まずは、鍵盤男子について教えてください。
高野麻衣: 鍵盤男子は、ピアニスト・大井健(たけし)さんと作曲家・中村匡宏(くにひろ)さんによるピアノ・デュオです。昨年11月、アルバム「The future of piano」でメジャーデビューし、キラキラしたルックスや「高速ピアノ連弾」という超絶技巧の必殺技を含むド派手なステージングでも話題を集めています。
あき:じつは私、鍵盤男子さんって名前は聞いたことがあります!
高野:それはうれしい! ふたりはメディアにも積極的に出演していて、いまとても勢いがあると思います。一方でお話を聴くと、ふたりともものすごい音楽オタクで、クラシックを愛していて、中村さんなんて交響曲やオペラも作曲する上、音楽博士でもある。
あき:そんな人たちがあえて、という姿勢がカッコイイですね。
高野:今週ご紹介する「新世代」の特徴って「戦略的」で「いま聴衆に求められているものがわかってる」ということだと思うんですね。それがよくわかるのがこの鍵盤男子、中村匡宏さんの楽曲です。
デビューアルバムの11曲のうち、中村さんが作曲したオリジナル曲は6曲。アルバムには「ボレロ」や「威風堂々」などのクラシック、オアシスやレディオヘッドなどUKロックのカバーといった、彼らのルーツである音楽もたっぷりつまっていますが、中村さんの曲をはじめて聴いたとき、ほんとうに「未来が見える!」と思いました。
あき:「The future of piano」は、どんな曲なんですか?
高野:リズムセクションが入ったダンサブルな楽曲です。ただ、隠し味として「ヨナ抜き音階」と呼ばれる日本古来の音を使っている。サカナクションの「新宝島」だとか、初音ミクの「千本桜」といったヒット曲にも共通していますが、日本人の耳には懐かしさを、外国の方には日本らしさをアピールできる、ものすごく今っぽいメロディなんです。
あき:なるほど! 最後にリスナーに向けて聴いてほしいポイントをお願いします。
高野:音源だけでもゾクゾクするような未来感、一音一音にこめられた「やったるで!」というパワーを、4月の朝を迎える皆さんに受け取っていただければ幸いです。
あき:やったるで、ですね! 明日以降もどうぞお楽しみに!
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今週のラインナップ:
2) VOLCANO/TSUKEMEN(4/18放送分)
3) 松司馬拓:『ユーリ!!! on ICE』より Prism – At The Airport(4/19放送分)
4) 林そよか:雨上がりの街角(4/20放送分)
明日の健康のための やすらぎの音楽~ヒーリング・コントラバス~
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『Memories & Discoveries』は毎週火〜金 朝5時10分頃、JFN系列32の全国のFM局で放送中。高野出演の「クラシック・プレイリスト」は5:10頃からスタートですが、インターネットでは、いつでも全世界でお聴きいただけます。park.gsj.mobi