METライブビューイング2019-20

ニューヨーク、メトロポリタン・オペラ(MET)。輝く噴水と美しい5つのファサードが印象的な「オペラの殿堂」の最新ステージを、映画館で目撃できる「METライブビューイング」をご存じでしょうか?

10数年前、スポーツ中継に夢中になる人々をヒントに生み出されたこの試みは、最新機材を駆使したカメラワークや音響、歌い終えたばかりの歌手をMCがキャッチする‟幕間インタビュー“などで愛されつづけ、いまや世界70ヶ国で上映される大人気コンテンツに。もちろんその中核には、METが世界に誇る超一流のパフォーマンスがあります。

圧巻の舞台と、愛すべき人々
現代に生きる私たちの「オペラ」

冒頭は、中国を舞台に、氷のような姫君のなぞに挑む王子を描いたプッチーニの名作『トゥーランドット』。

フィギュアスケートでもおなじみの華麗な音楽は、舞台で観るとまた格別。名匠ゼフィレッリが遺した絢爛豪華なプロダクションがどんなふうに生まれ変わるのか、期待が高まります。

最高のキャスト陣に加え、演出や舞台装置・衣装など映画界やミュージカル界からも才能を結集した圧倒的なステージ。そこに挑戦し続ける人々のチャーミングな素顔。オペラは高尚な哲学ではなく、現代人による、現代人のためのエンターテインメントなのだと教えてくれたのは、まぎれもなくMETでした。

新シーズンは、43歳の音楽監督ヤニック・ネゼ=セガンにとって2季目の正念場。自身が指揮する『トゥーランドット』につづき、『マノン』『蝶々夫人』という大注目ラインナップで華やかに幕を開けます。オペラ・デビューにもうってつけのこの冬、お近くの映画館で400年の伝統に触れてみましょう。

(25ans 2019年12月号 初出)※加筆予定

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