ミュージアム・プレイリスト 02「英国紳士の音楽:くまのパディントン展」

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4月よりスタートした、カルチャーメディア「楽活」の「アート×音楽」連載。

高野麻衣が話題の展覧会を巡りながら、 心に浮かんだ楽曲をプレイリストでご紹介いたします。

第2回の舞台はロンドン。「くまのパディントン展」の音楽です。

現在、Bunkamura ザ・ミュージアム(東京・渋谷)で開催中の「生誕60周年記念 くまのパディントン展」。

英国を代表する児童文学「パディントン」シリーズをめぐる旅は、ロンドンに実在するこの駅ではじまります。

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1956年のクリスマス・イヴ、妻へのプレゼントに小さなくまのぬいぐるみを買ったマイケル・ボンド氏。

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当時パディントン駅の近くに住んでいた彼は、ぬいぐるみにパディントンと名づけ、その子ぐまを主人公にしたお話を執筆。

それが、物語の始まりでした。 

(後略)

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「くまのパディントン」は、南米ペルーからひとりで英国にやってきた子ぐまが、パディントン駅でやさしいブラウン夫妻に出会い、さまざまな騒動を巻き起こしながら家族となっていく物語。

展覧会では、おなじみの挿絵の原画や世界中で出版された絵本、さらにボンド氏の仕事道具やインタビュー映像が紹介され、私たちをノスタルジックで愛に満ちた英国への旅に誘います。

翻訳家・松岡享子さんの監修も、この展覧会をより味わい深いものにしていました。

私が英国の歴史を学ぶようになったきっかけは、少女時代に図書館で出会ったシャーロック・ホームズと、松岡さんが訳した「くまのパディントン」でした。

複雑な歴史背景は知らずとも、そこに描かれたポートベロ通りといった地名や、「お十一時」のココアと菓子パン、トフィーやママレード、パディントンが挑戦するガーデニングやパリ旅行を通して、遠い外国への憧れをふくらませたのです。

絵画もクラシック音楽も、すべてその延長線上にあるものでした。

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ということで今回からは、アーティストや音源もしっかり私がセレクト。

「英国紳士の音楽」の名に恥じぬ、現代イギリスの紳士たちーーイアン・ボストリッジやチャーリー・シエムやVOCES8やキングス・カレッジ合唱団などを揃えた自信作が完成しました!

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なかでも思いを込めたのは、ラターのレクイエムの1曲「ピエ・イエス」。

日本での展覧会の開催を心待ちにしながら、ちょうど1年前の2017年6月に逝去されたというボンド氏に捧げました。

「どうぞこのくまのめんどうをみてやってください。おたのみします」

そんな札をつけたパディントンのモデルが、第二次世界大戦のロンドン空襲から郊外に逃れた子どもたちだったなんて、私はこの展覧会にゆくまで知りませんでした。

そこにはボンド氏のやさしい眼差しと、平和への願いがあふれていました。

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「くまのパディントン展」は6月25日(月)まで開催中。アートを味わう上質な時間のおともに、ミュージアム・プレイリストをぜひ、ご活用ください。

生誕60周年記念 くまのパディントン™展 | Bunkamura

 

6月は「ショーメ展」であの時代をクローズアップ! どうぞお楽しみに!

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くまのパディントン

くまのパディントン

 
パディントン ベアのロンドン案内

パディントン ベアのロンドン案内

 

 

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