OTTAVA Domenica 第44回「シンドバットの船」(8月9日放送)

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今週のOTTAVA Domenicaのテーマは「旅」。

波の音が聞こえるOTTAVA特設ビーチスタジオ(?)より出発し、アラビア海から地中海、太平洋にを渡ってアフリカ、オーストラリアやアメリカ大陸まで、異国情緒たっぷりの航海の旅に出発しましょう!

モンセラート修道院に伝わる巡礼の歌集より:この世界のことを考えると(トルバトゥールの歌)
リムスキー=コルサコフ:シェヘラザード~海とシンドバットの船、カレンダー王子
タルレガ:4つのマズルカ~第1番「アデリタ」
アルベニス:イベリア第1集~港
パガニーニ:ギターのための大ソナタ~第2楽章
グレインジャー:ストランド通りのヘンデル(2台ピアノ版)
ドビュッシー:マダガスカル先住民の歌~休憩・それは甘く
タン・ドゥン:管弦楽のための協奏曲-マルコ・ポーロ~紫禁城
ヴィラ⁼ロボス:ブラジルの詩~白色インディオの踊り
ガーシュイン:ストライク・アップ・ザ・バンド
リムスキー=コルサコフ:シェヘラザード~バグダットの祭りと海

旬の話題は、帝国劇場で上演中のミュージカル『エリザベート』(8/26まで)の主役で、生涯旅をしつづけた皇后エリザベートについて。

【Stage】父の娘、シシィ | ミュージカル『エリザベート』 – Salonette http://www.salonette.net/entry/2015/08/05/100000

そして、8月9日だからこそ話したい、長崎を舞台にしたオペラ『いのち』について。異国文化の玄関でありつづけた長崎。重層的な歴史の上になりたつ「音の風景」について考えたくなる、そんな作品です。

エキサイティングな世界一周の4時間、どうぞごゆっくりお楽しみください。

 

【3時のモーツァルト】
旅の日のモーツァルトとして:ピアノソナタ K.310~第2、3楽章

 

【日曜日の本】&【麻衣のオススメ】

須賀敦子『コルシア書店の仲間たち』(文春文庫)

「旅」がテーマの今週のOTTAVA Domenicaでご紹介するのは、須賀敦子の名作エッセイです。須賀敦子は1929年生まれ。聖心女子大学卒業後、24歳で初めてイタリアを訪れ、29歳からの13年をイタリアで過ごしました。現地で結婚し、谷崎潤一郎をはじめとする日本文学の伊訳を多数出版。6年後に夫が急逝し、71年帰国。その後慶應義塾大学や上智大学で講師を務め、イタリア体験をもとにした文筆活動を開始したのは、56歳の時でした。

『コルシア書店の仲間たち』は、そんな須賀の第2作。1950年代の半ばにイタリアへ留学した彼女は、詩人のトゥロルド司祭を中心にしたミラノのコルシア書店に仲間になります。理想の共同体を夢みる友人たち、垣間見たイタリア貴族の世界、ユダヤ系一家の物語、そして恋。書店の人々をめぐる情景が美しい日本語で綴られます。

年月を経て、やがて町を離れても度々イタリアを訪れ、かつての仲間たちと短い時間をともにする書き手がエピソードをつないでいく回想。時間軸が交錯し、謎めき、最後に霧が突然晴れたようにすべてが明らかになる構成と、文学的な気品。翻訳家の底力ともいえる、丁寧に推敲された、磨き上げられた日本語を読む愉悦がここにあります。旅に出るとき、そして「書くこと」を見つめ直したいときにいつも読み返す、私の座右の書です。

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