今月のOTTAVA Domenica Specialでは、ワンテーマで綴る2時間の音楽プログラムを、毎週2本ずつお送りします。
第2週のテーマは「宮廷」と「祈り」。音楽史を牽引してきた王侯貴族や教会と音楽家たちの関わりを軸に、権力はほんとうにただの悪なのか、「ノブレス・オブリージュ(高貴なるものの義務)」とはなんなのかを考えました。
ヘンデル:ジョージ2世の戴冠式アンセム~「司祭ザドク」
ヘンリー8世:良き仲間との気晴らし
ダウランド:エリザベス女王のガイヤルド
リュリ:宮廷バレエ「アルシディアーヌ」~リトルネロとイタリア風レシ
セヴラック:ポンパドゥール夫人のスタンス
クープラン:クラヴサン組曲第1集~第1組曲「ブルボン家の女」
ヨハン・シュトラウス2世:皇帝円舞曲
フォーレ:レクイエム ~ピエ・イェズ(慈悲深きイエス)
モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス
ペルト:フラトレス(兄弟、仲間)
パレストリーナ:教皇マルチェルスのミサ ~サンクトゥス
J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ(ギター編)
以上は、選曲のほんの一部。わがライフワークでもある大切なテーマゆえ、力が入りまくった(大いに笑われた)トークにもご期待ください!
再放送は9/19(土)。Domenicaの音楽世界とともに、今週もすてきな一週間をお過ごしください。
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先日、英国君主としての在位最長記録を更新した女王エリザベス2世。彼女にまつわる音楽は、現代の「宮廷」の象徴です。しかしそんな彼女が一度だけ、廃位の危機にさらされたことがあります。1997年8月31日。チャールズ皇太子との離婚後、「国民のプリンセス」として世界中で愛されていたダイアナ元妃が事故で急逝。パパラッチとのカーチェイスの末の悲劇的な死の直後、英国国民の悲しみの矛先は、一斉に女王に向けられたのです。
たびたび取り沙汰されていた女王とダイアナの不仲説への好奇心。「英国人の哀悼の表現は、控えめで品位があるはず」と信じる女王と「涙とパフォーマンスの時代」を生きる国民の深い溝――事件に対して沈黙をつらぬく女王に民衆の不信感はつのり、英国王室は窮地に追い込まれていきます。まさに「王冠を載せた頭は寝むときも不安である」というシェイクスピアのことばどおりの女王の苦悩が、労働党の若きリーダー、ブレア首相との一週間のかけひきを軸にした政治劇として描かれていきます。
「あれほど憎まれたことはなかった」。国民の容赦ないことばに涙ぐみながらも、千年以上続く王家の長として毅然と威厳を保ちつづける女王と、そんな彼女を目の当たりにし、必死で奔走する首相とのあいだに生じる、友愛にも似た絆も見どころのひとつです。品格と魅力にあふれた女王を演じたヘレン・ミレンは、この作品で多くの主演女優賞を獲得しました。彼女の所作や言動を眺めているだけで背筋が伸びる、人間ドラマの傑作です。
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