OTTAVA Domenica 第48回「自然/ノクターン」(9月6日放送)

9月になりました。

今月のOTTAVA Domenica Specialでは、ワンテーマで綴る2時間の音楽プログラムを、毎週2本ずつお送りします。

第1週のテーマは「自然」と「ノクターン」。作曲家たちを惹きつけてやまない風や森や海、そして夜という時間について思いをめぐらせます。

ヴォーン・ウィリアムズ:「グリーンスリーヴス」による幻想曲

エルガー:創作主題による変奏曲「エニグマ」~第9変奏「ニムロッド」

ベートーヴェン:ピアノソナタ第15番「田園」~第1楽章

ドビュッシー:前奏曲集 第1集~野を渡る風

ヴィヴァルディ:フルート協奏曲 op.10-1「海の嵐」

ドビュッシー:夜想曲~第1番「雲」

フォーレ:夢のあとに

ショパン:ノクターン 第7番 op.27-1

モーツァルト:セレナード第10番 K.361「グラン・パルティータ」~第3楽章

ピアソラ:ブエノス・アイレス午前零時

以上は、選曲のほんの一部。エターナルな名曲ぞろいなのがおわかりいただけるかと思います。同時にOTTAVA Domenica Specialでは、これまでの番組の総集編ともいえるような思い出深い「あの曲」や「あのエピソード」もご紹介していけたら、と考えています。

すてきな音楽世界とともに、今週もすてきな一週間をお過ごしください。

 

【麻衣のオススメ】
カズオ・イシグロ『夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語』(ハヤカワepi文庫)

『日の名残り』『わたしを離さないで』のブッカー賞作家カズオ・イシグロがミュージシャン志望だったって、ご存知でしたか?

ノクターンの名がつけられたこの短編集は、そんな作家の音楽への愛が、静かな通奏低音のように流れるすてきなアルバムです。ヴェネツィアのサンマルコ広場で演奏するギタリストの視点で、妻のためにセレナーデを歌う大物シンガーと夫婦の絆を描いた「老歌手」。離れ始めた妻の心を取り戻そうとする友人のため“引き立て役”を引き受けた“ぼく”を描いた「降っても晴れても」。うだつがあがらないサックス奏者が一流ホテルで出会ったセレブとの不思議な“夜の散歩”を回想する「夜想曲」他2篇――誰かにとっての大切な「過去」というイシグロらしいテーマはそのままに、旅先や夜眠る前のひとときにもうってつけの、やさしい「夜想曲集」。切なくて、ユーモラスで、最後にじんわり目頭が熱い。

カズオ・イシグロは「小説を書くことの究極目的は感情の共有」だと語っています。「人生は、ほんとうに一人の人間を愛することより大きいのだろうか」。挫折や愛の喪失といった人生の暗部に直面しながら、根本のところは音楽でつながっている登場人物たちの密やかな囁きが、まるで夜半過ぎの友人の打ち明け話のようにも感じられる。そんな短編集なのです。

夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫)

夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫)

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