王妃のドレスコード

女性議員問題からは離れるのだが、少々政治づいているので、もうすぐやってくる9.11にも関連した“中東のジャッキー”の話を紹介しておきたい。
この美しい人こそがその主役、ヨルダンのラニア王妃だ。
現在36歳。美貌とセンスのよさで、以前から気になる存在だったが、あるインタビュー記事を読んでから尊敬へと変わった。
彼女はキャリアウーマンから28歳で史上最年少の王妃となり、イスラム世界における女性の権利を擁護、恵まれない子どもたちを援助する活動家だ。
そして現在は、中東アラブ諸国とそれ以外の地域との“壁”を取り除こうと、王室外交に邁進しているのである。

「人は見た目で現実を形成していくもの。だから私は自分のドレスに人一倍気をつかいます。
私の服は私だけのものではなく、地域全体の代表として見られていることを常に意識しています」
「東洋と西洋の間にはこれまでにない大きな亀裂があり、お互いに恐れと疑いを感じています。
私の使命は架け橋になること。
積極的に外に出て人々と話し、私たちも皆同じ人間だとわかってほしいのです」
(VOGUE日本版4月号より)

「私たち女性で力を合わせて、この状況を変えていきましょう。偏見や先入観を捨てて交流しあい、ともにテロリズムや暴力に立ち向かいましょう。そして私たちの子どもに、よりよい世界を譲り渡しましょう!」
(フランス版ELLEに寄せたメッセージ)

いつも問題を卑近にしてしまうのが私の癖だが、私はこれ、クラシック業界における私の理想のあり方――使命にも通じるのではないか、と考えている。
片や戦争をもはらむ国家の問題、片や一国の芸術文化の問題ではあるが、根っこは同じだ。
音楽に境界線なんてない。
私のスタイルは「いいものはいい」。
無理にクロスオーバーする必要もない。
ただ私たちがニュートラルな地点から、めいめいがいいと思うエレメンツを選び、「これいいんだけど、どう?」と普通に話し合えればいい。
大切なのは、自分に合うものを知ること。
そして、自分の耳で選択できるということなのだ。

そのために「クラシックの秘密結社」から外に出て行くのは、私の使命。
私にとってドレスは、もはやファッションにとどまらない、文化と価値観の違いを生めるために欠かせない生き方の主張。
そう言いきれる、王妃のような女性になりたい。

 

ふたりのサンドウィッチ【絵本版】

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