Memories & Discoveries 17/07「シャーロック・ホームズのラブソング Vol.2」

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週替わりリコメンダーを担当しているラジオ「Memories & Discoveries」(JFN系)。私、高野麻衣の7月のテーマは、ずばりシャーロック・ホームズです。

じつは、わがホームズ特集はこれが第2弾。 昨年3月には、「ホームズはヴァイオリン演奏が好きで、じつはクラシックオタクでもある」という事実をテーマに、原作小説やBBCの人気ドラマ『SHERLOCK』に登場したクラシック音楽をセレクト、大反響をいただきました。

www.salonette.net

 

2017年は「ホームズ登場130周年」。先週末からNHKでも『SHERLOCK』最新シーズンがスタートしたほか、ホームズ特番が組まれたりと盛り上がる英国気分。

私自身、いよいよ今週末16日(日)から東京・吉祥寺「霧とリボン」ではじまる、ホームズ・オマージュ展《菫色連盟》を共同開催いたします。

http://kiritoribbon.blog23.fc2.com/blog-entry-162.html

ということで、11日(火)からお送りしているホームズ特集Vol.2。

1980年代、私の子ども時代の原点のひとつ、英国グラナダTVのドラマ『シャーロック・ホームズの冒険』より、さまざまな事件に登場する4曲をご紹介します。*1

 

まずは、1日目のプレイリストから(7月11日放送分)。

1) ゴワーズ:ベイカー街221B

連続ドラマは、なんといってもオープニングテーマが命。まずはこの「ベイカー街221B」を聴いて、19世紀末ロンドンで、せわしなく馬車が行き交う通りをベイカー街221Bの窓から見下ろしているホームズ、というタイトルバックを想像していただきました。ミステリーの予感と優雅さに満ちた名曲です。

そしてこの日、メインで聴いていただいたのは、

2) ゴワーズ:北へ10×10歩

「マスグレーヴ家の儀式書」という事件に登場する曲。由緒ある貴族の旧友の屋敷(マナハウス)に招かれたホームズとワトソンが、使用人の行方不明事件をきっかけに、チャールズ2世の時代から伝わるその家の儀式書に隠された謎をとくという物語です。

◎ポイント

・ドラマのサントラは基本、オープニングのメロディをその話数の雰囲気に合わせてアレンジしていくのですが、それがわかりやすい1曲。日本でいえば横溝正史みたいな雰囲気の、ちょっとおどろおどろしい英国中世を思わせるアレンジです。

・中盤の“ゴシック風221B”のメロディに注目! 

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つづいて2日目(7月12日放送分)。

3) ゴワーズ:ミサ曲「リベラ・メ」

「プライオリ・スクール」という事件に登場する曲。英国のウィリアム王子なども卒業したイートン校をはじめとする、名門私立学校(パブリックスクール)。そんな学校を舞台にした貴族の子息の誘拐事件に流れる、美しい少年合唱です。ちなみに「リベラ・メ」とは、ラテン語で「怒りの日」。レクイエムによく登場します。

◎ポイント

・221Bのメロディをアレンジしていくサントラのなかでも、歌詞付きの曲はレア。

・家柄と体面を重んじる父親と孤独な少年たち、という今に通じる物語で、私のお気に入りの話数です。そんな背景も想像すると味わい深いかもしれません。

 

つづいて3日目(7月13日放送分)。

4) ゴワーズ:ホームズ、ヨーロッパへ

5) ゴワーズ:再会

大人気エピソード「赤毛連盟」で姿を現す、ホームズの宿敵モリアーティ教授。教授との対決からホームズの死までを描いた「最後の事件」と、そんな名探偵が奇跡の帰還をとげる「空家事件」に登場する曲を2曲つづけて聴いていただきます。

◎ポイント

・「最後の事件」で、ホームズは犯罪者たちの黒幕として暗躍するモリアーティ一味を追いつめたことで暗殺されかけ、危険なロンドンを逃れて大陸へ。最初はお隣のフランス、国境を超えてスイスへという旅程が、登場する音楽のアレンジからわかるのがおもしろい!(最初はフランス国歌、スイスに入るとホルンの音……など)

・「空家事件」では、ライヘンバッハの滝でのモリアーティとの対決から2年、死んだ思われていたホームズがロンドンに戻ってきます。「王の帰還!」といった喜びが、盛り上がる221Bのメロディにあふれています。音楽でわかる物語を味わってください。

 

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つづいて、明日の4日目(7月14日放送分)。

4)ゴワーズ:アイリーン・アドラー

アイリーン・アドラーによる「ボヘミア王の醜聞」に登場する曲です。アイリーンは、その知性でホームズを唯一出し抜いた美女。女嫌いで恋愛や結婚を否定していたホームズの口から、意味ありげに「あの女」と呼ばれるシリーズ屈指のヒロインです。

彼女は元オペラ歌手。コントラルトと言われる低い声で、ズボン役と呼ばれるオペラの男役も数多く演じていたので、作中では男装してホームズに接近し、「おやすみなさい、ホームズさん」なんて挑発するシーンも出てきます。

頭がよくて、美貌はもちろん品格も才覚もあって、ホームズも一目でぐらぐら揺れているのがわかる。もちろん私も大好きです。《菫色連盟》展も、このアイリーンが重要なモチーフなのです。

霧とリボン 【Essay】高野麻衣「アイリーン・アドラー断章」

◎ポイント

・音楽が表すのはずばり、「ホームズがアイリーンをどう見ていたか」。

・マーラーの「アダージェット」にもよく似た、とてもロマンティックな曲想。そう考えるとやはりホームズは……どうぞお楽しみに!

 

「Memories & Discoveries」は毎週火〜金 朝5時10分頃、JFN系列32の全国のFM局(例:東京の場合はTOKYO FM、新潟の場合はFM新潟など)で放送中。

高野出演の「クラシック・プレイリスト」は5:10頃からスタートですが、インターネットでは、いつでも全世界でお聴きいただけます。

それではまた――おやすみなさい、シャーロック・ホームズさん。

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*1:通称「グラナダホームズ」は、原作を最も忠実に再現したと名高い人気ドラマ。主演はジェレミー・ブレット。英国紳士の品格とエキセントリックな知性をあわせ持った舞台出身の俳優で、日本語吹き替えは名優・露口茂が担当した。今人気のSHERLOCK役ベネディクト・カンバーバッチも、ジェレミーへのリスペクトを語っている。

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