ほんとうに高ぶると、ひとは|GIFT of SMAP -CONCERT TOUR’ 2012-

こんにちは、高野麻衣です。

金木犀の香りも漂いはじめる10月。そろそろ今年のプレイバックなんかも視野に入れはじめる季節ですが、私はいままさに、わが2012年を象徴するグループに夢中です――その名もSMAP!いまさらSMAPです!

私はSMAPの歌が好きです。90年代半ば以降トップ・アイドルでありつづけるSMAP。その時代、その時代のトップ・アーティストが手がけるから完成度が高い、というのはよく聞く言説なんだけれど、私が好きなのはなによりも歌詞です。会社いくのやだけどとりあえずがんばろうとか、ウキウキしてたら配ってたティッシュ2個もらったとか、たまには女もデート代出せよな、とか。 そんな歌を、最高のサウンドにのせて、ハンサムたちが歌って踊るのは痛快だし。とんがった10代のときは、ちょっぴり恥ずかしいと思っていた「オリジナル スマイル」や「君は君だよ」なんかもノスタルジー。初ジャニコンのわたしでも、絶対に楽しめるはずだと確信し、友人のご提案に飛びついたのがきっかけです。

9月の公演は東京ドーム初日(9/26)。まずは観客の層の厚さに驚愕しました。男性もいれば、子どももいる。自分の母親くらいというのはざらにいて、杖をついたおばあちゃんまでいる。グッズや舞台のデコレーションは、最新アルバム『GIFT of SMAP』をイメージした「ブルーのストライプと赤いリボン」がモチーフ。甘すぎず、クールすぎず、ほどよいバランスです。

開演前から、ドームを埋め尽くす美しいサーチライトの光に感動。「国民的スターとは」と思いを馳せつつ、スタンドの上のほうから豆粒のような5人を見つめました。冒頭の「JUST GO!」、ロンドン・ポップスを思わせる「I Wanna Be Your Man」と表題作の「GIFT」のキュートさ、そして中盤のコメディ・パートを通過しての香取さんのソロ曲「MONSTERS」、たたみかけるように展開する「真夏の脱獄者」「Keep my love」「HIKARI」そして「CRAZY FIVE」の流れのクールさ――構成も演出も衣装もこっていて、エンタメとしてたしかにおもしろい。休憩なしの3時間ぶっとおしなのですが、あっというまでした。

そしてなんといってもアンコール。大トリのストレートなメッセージ・ソング「前に!」を歌いながら、ステージの中央をよどみなく歩く木村先輩(通称:キング)に釘付けでした。

「空の彼方 僕らもっともっと飛べるよ!」

修羅場中だったわたしはたしかに、あの歌とSMAPに勇気をもらいました。キングが空を指差すだけで、ほんとうに飛べる気がするから不思議です(危険)。

そしてきのうの10月公演――そう、どうしても野外ライヴが観てみたくて、2回目を敢行したのです!

調布までタクシーでひた走ること1時間。味の素スタジアムは遠かったけれど、ドームに比べておしゃれをした若い女の子が多くて活気があり、気分が華やぎました。やっぱりコンサートは、おしゃれが肝心です。

なにより最高なのは秋の野外。夕方に一時ひどい雨が降ったのですが、「ぬれスマ」(友人談)という貴重なものを目にした上、木村先輩のテンションも上がりまくり。席がステージに近づいたこともあり、生の迫力が伝わってきます。

私的クライマックスは「MONSTERS」で、香取さんのドラマの相方・山下智久さん(本来ツイン・ヴォーカル)が登場した瞬間でした。低音と飛び交うレーザービーム、大柄な香取さんのダンスが超絶クールな「MONSTERS」。そこへ、「永遠の理想の少年」こと山Pが加わって「食うか食われるか」と歌いあうのですから、冷静ではいられません。気づいたときにはボロボロ涙がこぼれていて、驚いたのなんの。

「ああ、ほんとうにかっこいいものを見て高ぶると、人ってこんなふうに泣くんだな」

――世界の真実をひとつ知ったコンサートでした。

肝心なのは、すこしでも興味のある分野があるなら、まずは声に出してみること。そうすれば誰かが絶対に新しい世界へ誘ってくれるから。 生の音楽、舞台って、生きるための力です。

(花園magazine 初出)

 

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