25ans CULTURE CLUB 21/07「マン・レイと女性たち」

25ans 8月号(6/28)のテーマは「未来へのチアアップ」。Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「マン・レイと女性たち」を中心に、韓国カルチャーやファッションにまつわるチアフルな作品たちをご紹介したい。

2020年以前から盛り上がっていた「世界は変わらなくちゃ!」という攻めのムードが、カルチャーにも戻ってきた。『サムジンカンパニー1995』やK-POPなどの韓国カルチャーはその筆頭だろう。パワフルで後味すっきり、とても今っぽい。主人公たちが「I can do it! You can do it! We can do it!」と口にするたび、やっぱり仲間っていいなと熱くなった。

一方、パリが舞台の『マン・レイと女性たち』に登場するのは、より困難な時代に闘いつづけた女たちの肖像だ。シャネル同様、男に寄り添うと見せかけてじつは「自立」していた彼女たちの凛とした横顔を、あらためて目に刻みたい。


Focus

『マン・レイと女性たち』

パリの芸術家が生み出した、永遠の女性像

女性たちをモデルに、ときに優しく甘美、ときに強く自立的、ときには神々しいまでに美しい写真を生み出したことで知られる芸術家マン・レイ(1890-1976)。彼の人生におけるさまざまな愛と別れ、冒険や発見を体験していく展覧会がスタートする。時間軸をタテ糸に、その時々のミューズとなった「女性たち」をヨコ糸にして織りなす、マン・レイの詩的な作品世界。約150点の写真を中心に、絵画やオブジェなどを加えた250点超の作品で広がる世界観に酔いしれてほしい。


line up

【本】K-POPはいつも壁をのりこえてきたし、名曲がわたしたちに力をくれた/ファッション イン ジャパン/今井千恵のマイ・レガシー【音楽】ビリー・アイリッシュ/ルイーズ・ファランク【美術】隈研吾展/サンリオ展/マン・レイと女性たち【映画】あの夏のルカ/サムジンカンパニー1995/ココ・シャネル 時代と闘った女【舞台】BALLET TheNewClassic/ Super Angels

『あの夏のルカ』

タリアの港町を舞台にした
少年たちの夏

北イタリアの美しい港町ポルトロッソを舞台に、シー・モンスターの少年ルカが禁断の人間界に足を踏み入れるファンタジーアドベンチャー。空と海のきらめき、リアルな街並みは旅情たっぷり。人間たちと関係を築こうと奮闘するルカと親友アルベルトを、思わず応援したくなる。「未知の世界への憧れ」というディズニーらしいテーマに、郷愁というスパイスをこめて描かれる少年たちのひと夏は、恐れずに、一歩踏み出す勇気の大切さを教えてくれるはず。

https://disneyplus.disney.co.jp/program/luca.html

『サムジンカンパニー1995』

合言葉は「We can do it!」
闘う90年代ガールズ

90年代のソウルを舞台に、大企業に勤める高卒女性社員たちが、会社の不正に立ち向かう痛快なサスペンスフル・コメディ。主人公は、すぐれた実務能力を持っているのにお茶くみや書類整理ばかり任され、ステップアップのため英語の勉強に励む女性社員たち。当時のガールズムービーを思わせるポップさと、実話を基にした社会派のバランスが今っぽい。30年前の社会のリアルに驚きながら、道を切り拓く女性たちに勇気をもらえる作品だ。

https://samjincompany1995.com/

『ココ・シャネル 時代と闘った女』

最もエレガントで、最も手ごわい
彼女はなにと闘ったのか?

第一次世界大戦後、女性たちを解放しモード帝国を築いたシャネル。しかし第二次大戦末期、シャネルはドイツから解放されたパリを脱出してスイスへ向かい、10年間の沈黙を続けた。その真相は、一体なんだったのか--。近年明らかになった研究を踏まえながら、多様な映像とシャネル本人や関係者らの証言を通して、波乱に満ちた生涯と実像をひも解く最新ドキュメンタリー。多面的で孤独で、しかしたまらなくエレガントなシャネルに、あらためて出会える。

http://cocochanel.movie.onlyhearts.co.jp/

(25ans 8月号より加筆修正中)

連載|25ans CULTURE CLUB

Scroll to top