25ans CULTURE CLUB 21/06「モネー光の中に」

25ans 7月号(5/28)のテーマは「エンタメ・ルネサンス」。ポーラ美術館の企画展「モネ-光の中に」を中心に、エンタメの底力を示すように再生する、カラフルで多彩なラインナップを紹介する。

この春、大都市では3度目の緊急事態宣言を経験。そうした状況が長期化しているからこその取り組みを、エンタメに携わる人々が模索し続け、着実に根を張ってきたのだろう。「芸術家は職業ではなく使命です」というリッカルド・ムーティの言葉ではないが、担当者の方々とのやりとりも、毎回熱い。

自宅で鑑賞できるVR作品などの取り組みも続くが、ぜひ現地で味わっていただきたいのが前述の企画展。美しい空間で満たされ、文化を応援する--そんな夏の計画もすてきだ。がんばっている自分自身の心も、カルチャーで慈しもう。


Focus

『モネ-光の中に』

パリの芸術家が生み出した、永遠の女性像

最新のLED照明で、屋外でスケッチしていたモネが実際に感じていた光を再現し、絵画が楽しめる試み。壁や絨毯までこだわりぬかれた空間に感動。会場構成は建築家・中山英之。展示は来年3月まで続くので、近くを訪れた際にはぜひ。


line up

【本】かわいいウルフ/ヤマザキマリ対談集 ディアロゴス/星野リゾート10の物語【音楽】テイラー・スウィフト/ガール・イン・レッド【美術】フジタ-色彩への旅/名古屋城からはじまる植物物語/素材転生「-Beyond the Material」【映画】5月の花嫁学校/グリード ファスト・ファッション天国の真実/ピーターラビット2/バーナバスの誘惑【舞台】Free as a Bird/キネマの天地

『5月の花嫁学校』

よき妻の条件
それは“自由”であること

1967年。フランスのアルザス地方にある花嫁学校、ヴァン・デル・ベック家政学校に、今年も18人の少女たちが入学。ところが夫の突然の死で、校長のポーレット(ジュリエット・ビノシュ)は学校が破産寸前であることを知り――。窮地から抜け出そうと奔走するポートレットや生徒たちが、パリの5月革命を目の当たりにし、これまでの自分たちの考えに疑問を抱き始める展開が感動的。60年代のエレガントな衣装と、女性たちのエネルギーがたっぷりつまっている。

https://5gatsu-hanayome.com/

『グリード

(小)ファッション帝国の真実』

“ファストファッションの闇”を暴く

ブラックエンターテインメント

「グリード=強欲」というタイトルを持つ本作は、金と欲がすべての主人公の生活の裏に隠された‟ファストファッションビジネスの闇”を、鋭い視線で暴き出すブラックエンターテインメント。物語の主人公は、ファストファッションのブランド経営で財を成したリチャード・マクリディ。2020年に破産申請をした「TOPSHOP」のオーナーがモデルだ。マイケル・ウィンターボトム監督のイギリス人らしい痛烈な風刺とジョークに笑いつつ、経済第一主義の社会を深く考えさせられる。

http://greed-japan.com/

『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』

あのかわいいウサギが
大都会で悪の組織に!

ビアトリクス・ポターの名作絵本を元ネタにした、大ヒットコメディの続編が登場。前作から3年。大好きなビアと結婚し、父親面でしかりつけてくる宿敵マグレガーに嫌気が差したピーター。「湖水地方なんかうんざりだ!」と大都会へ飛び出した彼は、亡き父の親友だったというワイルドなウサオジ、バーナバスと出会う。彼が率いる地下組織に加入し、悪事を重ねていくピーターの作戦は、やがて仲間も巻き込んだ大騒動に。ブラックだけど憎めない、いとしのモフモフに癒されよう。

https://www.peterrabbit-movie.jp/

(25ans 7月号より加筆修正中)

連載|25ans CULTURE CLUB

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