OTTAVA Domenica 第18回「1930年代へようこそ」(2月1日放送)

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本日のOTTAVA Domenica、テーマは「1930年代へようこそ」。

写真は1933年の白金に建てられた朝香宮邸、現在の東京都庭園美術館です。

きっかけは、林田さんが訪れドビュッシーの音楽を夢想したという展覧会「幻想絶佳:アール・デコと古典主義」の話題。私も内覧しており、ちょうど同時代の小説をご紹介しようと考えていたことから「時代そのものを主役にしよう!」ということに。
東京都庭園美術館|TOKYO METROPOLITAN TEIEN ART MUSEUM

そして私の旬の話題はもちろん、試写会でみた映画『ディオールと私』。

大興奮だった“仕事映画にして音楽映画”のみどころはもちろん、クリスチャン・ディオールの30年代の活動や当時の音楽――映画で使用されたラヴェルのヴァイオリン・ソナタまで、愛いっぱいにご紹介しました。
映画「ディオールと私」公式サイト

ほかにも当時のウィーンで活躍したクライスラー本人の演奏やガーシュインのJAZZ、ご紹介したゴシック・ミステリーにぴったりの「亡霊のようなメヌエット」、現代のサロンになりそうなサントリーホール所有のエラール・ピアノの最新情報などなど。

盛りだくさんの1930年代特集です。

 

【3時のモーツァルト】
ヴァイオリン協奏曲第4番~第1楽章(オイストラフによる演奏)

 

【日曜日の本】&【麻衣のオススメ】
辻原登『抱擁』(新潮社)

駒場公園に佇む英国チューダー様式の洋館。赤絨毯の階段が印象的なこの屋敷は、英国で暮らした前田侯爵の邸宅として、1929年に建てられました。3年ほどまえ近くに越してからは、煮つまったりするたびに訪れ、美しい空間のなかで力をもらった大切な場所。そしてこの小説は、引越し祝いとして校閲者の友人にプレゼントしてもらった思い出の一作です。

舞台は二・二六事件から間もない、1937(昭和12)年の東京。前田侯爵邸の小間使いとして働くことになった18歳の「わたし」は、幼い令嬢・緑子の異変に気づく。その少女は、見えるはずのない誰かの姿を見ている――。元ネタはご存知、ヘンリー・ジェイムズの『ねじの回転』。美しい日本語と、静謐な、息苦しいまでの緊張に貫かれたゴシック・ミステリーです。戦前の華族の優雅な暮らしぶりの描写が魅惑的ですが、なにより存在感を放つのが、心理劇に外側から働きかけてくる現実――大戦前夜の緊迫感。クーデターを企てた青年将校たちの思いに共鳴していくクライマックスは圧巻です!

抱擁

インターネットラジオ OTTAVA

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