OTTAVA Domenica 第35回「メランコリア」(6月7日放送)

6月最初のOTTAVA Domenica、テーマは「メランコリア」。

3日にダウンロード配信限定で発売されたNAXOSの新コンピレーション『憂鬱なガイヤルド』をヒントに、「じゅうぶん浸れるくらいメランコリックで、でも、ほんのすこし優しさをまとった音楽たち」を大特集しました。

『憂鬱なガイヤルド』は、「憂鬱の作曲家」ダウランドを案内人に、ルネサンスから現代までのリュートやピアノの音楽を集めた「雨ふりの午後のための音楽集」。モーツァルトやショパンらの名曲とブーランジェやアイアランドらのオシャレ曲のバランスといい、曲順の妙といい、コンピレーションとして完璧に美しい出来ばえで、私も現在ヘビーローテーション中です。

雨、花、涙、孤独、そして悲しげな舞曲(ガイヤルド)――メランコリーという感情が、いかに多くの作曲家たちの創作の源になってきたことか。たまにはそんな感情に身をゆだねてみるのもすてきですよね。雨の日のとっておきにもオススメ!
NAXOS JAPAN | 憂鬱なガイヤルド ~ 雨ふりの午後のためのクラシック音楽集

「旬の話題」では、新国立劇場で先日千秋楽を迎えたオペラ『ばらの騎士』の報告を。林田さんの共感発言でおもわず注目してしまった「オックス男爵」を中心に語ります。

林田さんからは、サントリーホールの秋の注目公演をふたつ。チョン・ミュンフン指揮のブラームス「交響曲第4番」も最高にメランコリックです!
http://www.suntory.co.jp/suntoryhall/

新コーナー「きょうの大曲」も登場のOTATVA Domenica。

音楽に満たされた4時間で充電したら、今週もすてきな一週間をお過ごしください。

 

【3時のモーツァルト】
交響曲第41番「ジュピター」~第1楽章

【きょうの大曲】
ブルックナー:交響曲第8番~第1楽章

 

【麻衣のオススメ】
『メランコリア』[DVD]

本日のテーマ「メランコリア」にちなんでご紹介するのは、2011年のラース・フォン・トリアー監督作品。なにより味わっていただきたいのは、冒頭の8分、ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」にのせて描かれる惑星衝突のシーンの耽美的な美しさ! 絶対的な破滅を肌で感じるとき、この「破滅への前奏曲」の美しさがより引き立ちます。

この映画、ジャンルはSFなのですが、それを超越した耽美なメランコリーに浸れるところがポイント。物語は、惑星衝突の一週間前からはじまります。主人公は、郊外の邸宅で行われる自分の結婚式で、絵に描いたような「幸せな生活」に居心地の悪さを訴える鬱気味の女性ジャスティン(キルスティン・ダンスト)。上流階級で完璧な主婦を演じる姉クレア(シャルロット・ゲンズブール)はそれを責め、ふたりはぎくしゃくします。しかしその直後、「惑星メランコリア」が地球にぶつかることが判明。冷静に破滅(=彼女にとってはハッピーエンド)を受け入れるジャスティンと右往左往する姉夫婦の対比、その関係の変化が、一貫して邸宅の内部だけで描かれていきます。6月の雨の午後、「世界の終わり」への憧れと陶酔をするすべての方に。

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