本日のテーマは「田園」。
ベートヴェンの弟子リースくんの田園風コンチェルトにはじまり、モーツァルトやリヒャルト・シュトラウスなど、ウィーンの雰囲気多めでお届けしました。
林田さんから別府アルゲリッチ音楽祭のレポートや、実際にアルゲリッチが演奏するCDの紹介も。現場の熱気が伝わってくるみずみずしいシューマン!
http://www.argerich-mf.jp/新国立劇場からは、シーズン終盤の話題作『椿姫』&人気作『ばらの騎士』を2本立てでご紹介しました
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/「3時のモーツァルト」につづいては、「日曜日の本」。モーツァルトを聴いて、本を語る。ゆたかな日曜の午後を、これからもご一緒できますように。
【3時のモーツァルト】
アダージョとロンド ハ短調 K.617【日曜日の本】[高野麻衣・選]
鹿島茂『明日は舞踏会』(中公文庫)先日帝国劇場で、名作ミュージカル『レ・ミゼラブル』を観ました。クライマックスは、ドラクロワの絵画『民衆を率いる自由の女神』でおなじみの七月革命(1830年)がモデル。同時代のパリはリストがスターダムにのし上がり、翌年にはショパンがやってくる「世界の首都」なわけで、じゃあなんで学生たちは蜂起したのかとか、リストはなにしてたのかとか、いよいよこの時代が気になって仕方なくなってきたのです。
そこで取り出したのがこの本。世に女性のタイプは数あれど、一度は夢見る永遠の夢「舞踏会」――「優美可憐な衣装を競いあう視線の戦場」と周辺文化を、バルザックの短編小説『二人の若妻の手記』を元に探る知的レディ・マニュアルです。
パリ社交界への憧れ、ファッション、社交界やオペラ座デビュー、結婚相手を見つけるまで、結婚の幸福と現実。順を追って解説される19世紀パリ。鹿島茂さんのご専門であるフランス文学を題材に、当時の女性たちの夢と現実を鮮やかに活写されています。1997年に新刊を購入し、20年近く愛読している単行本の文庫版。こんなふうに愉しげに音楽史を描いてみたい! それが私の長年の夢なのです。