4月よりスタートした、カルチャーメディア「楽活」の「アート×音楽」連載。
高野麻衣が話題の展覧会を巡りながら、 心に浮かんだ楽曲をプレイリストでご紹介しています。
第3回では、帝政時代のパリからスタートする「ショーメ」展の音楽を。
三菱一号館美術館(東京・丸の内)で開催中の『ショーメ 時空を超える宝飾芸術の世界ーー1780年パリに始まるエスプリ』展を訪れました。
パリ・ヴァンドーム広場の名門のなかで最も長い歴史を誇り、フランス革命を見届け、ナポレオンの戴冠式をも彩ったジュエリー・ブランド「ショーメ(CHAUMET)」。期待を胸に会場に足を踏み入れた途端、予想をはるかに超える美のオーラに圧倒されます。
第1章「歴史の中のショーメ」に捧げる1曲目は、この展示風景にぴったりのベートーヴェンのピアノ協奏曲「皇帝」です。
“音楽界の皇帝”ベートーヴェンは、ナポレオンの1歳下の同世代。思春期にフランス革命の影響を強く受け、のちにナポレオンを讃える交響曲を作曲しました。華麗なイントロに鳴り響くピアノの音は、まるで宝飾品のきらめきのよう。
展示室には、19世紀半ば、皇帝の甥ナポレオン3世の皇后となったウジェニーの肖像(1853年)や、19世紀末のベルエポックの華スターン夫人の肖像(1889年)が、それぞれの人物や時代にちなんだジュエリーとともに展示。
次々に現れる高貴な女性(ミューズ)たちの回廊に合わせたいのが2曲目。太陽王時代のヴェルサイユで活躍し、19世紀末の作曲家ラヴェルにも愛されたフランス音楽の魂、クープランの「神秘的なバリケード」です。
(後略)
圧巻はやはり、写真撮影も可能な「ティアラの間」でしょう。
三菱一号館美術館やその中庭では、美しい空間に留まり、ゆっくりと余韻を味わうこともできる。まさに「美を浴びた」という多幸感を味わえる経験でした!
ジョゼフィーヌやウジェニーら、時代時代の皇妃たちにマリー・アントワネット、ロンドンに暮らした前田菊子侯爵夫人まで。
私が愛する「高貴なる女」たちが、勢ぞろいで出迎えてくれたこの展覧会。
女性たちの密やかなおしゃべりの気配漂う空間に合わせ、現代の歌姫アンナ・ネトレプコによる「ジャスミンとばらの二重唱」などの歌曲をメインに、アレクサンドル・タローのモダンなフランス宮廷音楽をはさみこむという構成で選曲しました。
※リクエストにお応えし、今回からspotifyのほかApple Musicのリストも併記。
香り立つようなソプラノの歌声と、繊細な宝石たちのプリズム。みなさまの美しい時間に調和するといいな、と思っています。
「ショーメ 時空を超える宝飾芸術の世界――1780年パリに始まるエスプリ」は9月17日(月・祝)まで開催中。アートを味わう上質な時間のおともに、ミュージアム・プレイリストをぜひ、ご活用ください。
ショーメ 時空を超える宝飾芸術の世界|三菱一号館美術館(東京・丸の内)
7月は「縄文展」であの作曲家をクローズアップ? どうぞお楽しみに!
- アーティスト: オムニバス(クラシック),ダニエルズ(デイヴィッド),マルティーニ,ラモー,モーツァルト,オグデン(クレイグ)
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