週末、新潟の実家から、大きな梨の段ボールが届きました。帰省がかなわなかったお祭りの料理や野菜、預けていた冬物といった支援物資が満載でした。そのなかに、とても目立つオレンジのカボチャの包みを発見。「ハロウィーンのプレゼントかしら」と開封すると、出てきたのはなつかしい駄菓子たち――お祭りで当家が準備した「おしゃぎりの乗り子たちへの差し入れ」だと気づいたのです。洋の東西を問わず、お祭りの子どもにはキャンディをプレゼント。それならば、とコラボレーションしているのがとても現代的に思えました。
ハロウィーン(Helloween)は、毎年10月31日に行われるケルト発祥のお祭りです。秋の収穫祭とキリスト教の万聖節前夜の悪霊退散が合体したものですが、私たちが知るようになったのは、物語やドラマなどに登場する「アメリカの年中行事」としてでした。カボチャの中身をくりぬいた「ジャック・オー・ランタン」。子どもたちが魔女やお化けに仮装して家々を訪れる「トリック・オア・トリート(お菓子かいたずらか)」。見かけるたびにわくわく、憧れをつのらせたものです。
そうした世代が親の年齢になったせいでしょうか。子どもの頃はサンリオやソニープラザ(現PLAZA)の店内でしか見かけなったお菓子や仮装グッズも、すっかり街の風景になりました。私が暮らす渋谷区では、毎年町内ごとに、ボランティアに引率された子どもたちが仮装行列をしています。
なによりハロウィーンの仮装は、子どもに限りません。この時期の週末には、魔女やゴースト、なぜかヒーローや婦人警官などが街にあふれ、大変な騒ぎ。基本的にみんなとてもかわいいので、目にするたびに私は、日本人の変身願望とその技術力について感嘆してしまいます。
日本人女性はもともと、コスチューム・プレイが好きなのです。仕事にはデキるOL風、今夜はデートだからセクシー風、習いごとにはリセエンヌ風、家族と食事の日にはお嬢さん風。いつだって「変身」しています。「変身」することで、なんでもない毎日が「特別」になるのです。コンサート会場やお祝いの席ならばなおさら、着飾ることは女性の特権であり、喜ばしい義務であると私は考えています。
そんなわけで、今年のパーティーには黒猫のプチ仮装をする予定。お祭り好きですみません!
(2013年11月1日付「新潟日報」初出)