楽しみにしていたJO MALONEの新コレクションが店頭に並んだ。
テーマは「Rock The Ages」。英国の5つの時代――左からチューダー、ジョージアン、ヴィクトリアン、エドワーディアン、現代を表現した香りということで、英国史好きの私としてはときめきが止まらない。ボトルの色やキャップまで、時代の雰囲気を感じさせる素材や模様が彩っている。
◆TUDER ROSE & AMBER
1485年、ランカスター家のヘンリー7世がヨーク家のリチャード3世を倒して開いたチューダー王朝をイメージした香り。
百年戦争と薔薇戦争で疲弊した諸侯を抑圧して絶対王政を推進、ヘンリー8世、エリザベス1世といった大君主を生み出し、1603年の女王の死まで続いた。音楽やシェイクスピアの演劇など、芳醇な文化が花開いた時代を濃厚な薔薇の香りで表現している。
◆LILY OF THE VALLEY & IVY
1714年から1901年まで続いたハノーヴァー王朝は、ドイツのヴェルフ家の流れを汲む神聖ローマ帝国の家系。エリザベス女王の跡を継いでいたステュアート王朝に代わってイギリスの王家となり、ドイツのハノーファーとイギリスの君主を兼ねる同君連合体制をとった。
英国クラシック・スタイルの原型となった「ジョージアン様式」が生まれた時代。18世紀に発達したこのシンプルなデザインを、スズランとアイビーの香りで表現している。
◆POMEGRANATE NOIR
ハノーヴァー朝のなかでもっとも有名な女王が統治した、ヴィクトリア王朝をイメージした香り。
ヴィクトリア女王の統治は1837年から1901年。産業革命と自由貿易により大英帝国が絶頂期を迎えた時代だ。文化の爛熟とともに現れた陰りをも表現するのは、ザクロやウッドの香り。定番商品で、女優・小橋めぐみのおきにいりでもある。
◆GERANIUM & VERBENA
ヴィクトリア女王とアルバート公子の長男として生まれ、「バーディ」の愛称で親しまれたエドワード7世の時代を表現した香り。
在位は1901年から1910年までの10年足らずだったが、その治世は「エドワード朝」と呼ばれ愛されている。王はフランスやロシア、日本との関係を強化した「ピースメーカー」。おしゃれで競馬好き、レジャーの時代の象徴でもあったエドワーディアン・スタイルを、ゼラニウムやヴァーベナといったハーブで表現している。これは私のおきにいり!
◆BIRCH & BLACK PEPPER
現代はスモーキーな香り。男子がつけていそうなスパイシーでウッディな香調だが、店舗では女性人気が抜群だそう。
そして、JO MALONEの醍醐味はなんといっても重ねづけ。私はおきにいりのエドワーディアンの香りに、清楚なジョージアンや濃厚なチューダーを時間によって組み合わせたい、なんて考えている。
ブリックスクエア内の三菱一号館美術館では、明日から「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」がはじまる。薔薇の咲く中庭で、いっそう英国気分が盛り上がった。