今週のOTTAVA Domenicaのテーマは「フラトレス(兄弟、同志)」。
夏の午後を彩る涼しげな音楽とともに、楽器と演奏者の絆についてもひもときます。
ゲストは「今月の芸劇ウインド」の高田園子さん(オーボエ)&岡田志保さん(ファゴット)。同じダブルリードながら対極的な2台の楽器のひみつをたっぷりお聞きしました。驚きのリードづくりから意外なデモ演奏、コーナー史上最高に緊張した(?)林田さんの楽器体験まで、必聴の1時間です!
旬の話題では、秋に来日するウィーン・フィルのリハーサル見学という耳寄り情報を。
また、サティ展会場でも人気の本や高橋アキさんの新譜、耽美的な音楽映画でもある『リプリー』のご紹介もあります。
タイトルに拝借した「フラトレス」は、アルヴォ・ペルト作曲、加藤訓子編曲のマリンバ版。先週ご紹介した『海のアリア』のイメージ曲として、リスナーさんからのメールをもとに林田さんが選んでくださいました。
『海のアリア』のラストで演奏者アリアドに楽器アベルがひとりごちる「こいつって、ぼくがいないとだめだな」というセリフが好きです。萩尾望都がくりかえし描いている「すべてを理解することなんてできないけれど、そばにいることはできる」というメッセージがそこには凝縮されています。従属ではなく対等な関係性を築いたふたりの音楽は、きっと「フラトレス」のように静かでやさしいものだったはず――感動しながら収録を終えました。
どうかみなさんにも、静かなやさしさが届きますように。
【3時のモーツァルト】
ピアノ協奏曲第22番~第1楽章
【日曜日の本】[林田直樹・選]
卵のように軽やかに: サティによるサティ (ちくま学芸文庫 サ 32-1)
- 作者: エリック・サティ,岩佐鉄男,秋山邦晴
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- 発売日: 2014/11/10
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【麻衣のオススメ】
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「特技は嘘をつくこと、サインを偽造すること、そして他人になりきること」。貧しい音楽青年トム・リプリーは、ある富豪からイタリアに行ったまま戻らない息子を連れ戻す仕事を引き受ける。イタリアで彼が出会ったのは、海辺で放蕩生活を送るアポロンのような青年ディッキー。きらびやかな暮らしぶりに美しい恋人、すべてに恵まれた男。トムは自分には手の届かない彼に憧れのまなざしを向ける。ディッキーも、気まぐれからトムを放蕩生活に引き入れる。しかし、自分にまとわりつくトムを疎ましくなった彼は次第に冷淡になり……。愛憎という感情を描いたお手本のような心理劇です。
原作はパトリシア・ハイスミスの大ベストセラー。1960年、アラン・ドロン主演の映画『太陽がいっぱい』として有名なこの原作を、2000年、アンソニー・ミンゲラ監督がまるでちがう別アプローチで映画化したもの。リプリーの孤独な青春や悲しみを表現した予告でのパーセルや、本編のガブリエル・ヤレドの音楽が印象的な作品でもあります。
南イタリアの海と陽光、輝くばかりに美しいジュード・ロウを楽しむ青春サマームービー。夏の輝きに憧れるこの季節に、ぜひご覧ください。