萩尾望都、音楽の在りて|バレエ・プリンセス

この春も、わたしたちを大いにエキサイトさせてくれている萩尾望都。

その萩尾先生が長年大切にしているカルチャーのひとつが「バレエ」だ。じつはいま、「チャコット」のお店やホームページを覗くと、萩尾先生の筆による美しいバレリーナたちに出会えるのをご存じだろうか?

『バレエ・プリンセス』は、バレエ・ダンス用品の総合メーカーであるチャコットが、「バレエ文化の普及」をめざして主催する特別公演。「眠れる森の美女」「シンデレラ」「白雪姫」の姫たちが“共演”し、名作バレエのハイライトとともに、「お姫さまになることを夢みるバレエ好きの少女アン」が3人の姫たちの世界を巡っていく、というマッシュ・バレエだ。

萩尾先生はこの公演の主旨に賛同し、この宣伝イラストを描き下ろしたのだという。

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画:萩尾望都/提供:チャコット株式会社(禁無断転載)

現在連載中の『王妃マルゴ』を思わせる華やかなイラストだが、公演は(萩尾先生の作品と同様)アンのような「少女」だけではない幅広い世代のひとを唸らせる「本格派」であることがなによりの特徴だ。

「眠れる森の美女」からはチャイコフスキーによるバレエ第3幕の結婚式をプティパの改訂振付で、「シンデレラ」からはプロコフィエフによるバレエ第2幕の舞踏会を新たな振付で、それぞれ新国立劇場バレエ団プリンシパルの米沢唯、バレエスタジオDUOの池田理沙子が演じる。バレエの定番作品がない「白雪姫」では、バレエ・リュスの指揮者でもあったロシアの作曲家ニコライ・チェレプニンの曲を使用し、演出・振付の伊藤範子が新たなバレエを創作、新国立劇場バレエ団ソリストの木村優里が演じる。

2014年のローザンヌなど、近年のバレエ・コンクールを賑わせた「次世代のスターたち」も多数出演するが、彼らがガラ形式ではなく、ひとつの作品のなかでバレエ団の垣根を越えて共演するのは、とても貴重なことなのだそう。

お話を伺ったチャコットの担当者さんは、「3人のプリンセスにディズニー映画を思い浮かべる方も多いと思いますが、バレエの世界にも同様に、すばらしい楽曲と作品があることを知って頂ければ」と熱く語ってくださった。

たしかにディズニーの『眠れる森の美女』といえば、バレエのほうが“元ネタ”だ。全編にチャイコフスキーのバレエ音楽が(前述の結婚式もふくめて)使用され、キャラクターたちの動きも音楽にあわせ踊るように優雅なのだが、それを意識するひとが少ないのは残念だと、私もつねづね感じている。

今回、萩尾先生、そして出演者たちの熱意を伺い、マンガやアニメーションのファンにも、この機会に生のバレエを体験してほしいと心から思った。この夢いっぱいの公演が、異文化を越境するきっかけになればうれしい!

『バレエ・プリンセス』は3月31日(木)新宿文化センター 大ホールにて開催。一夜限りの夢の世界をお見逃しなく。

www.chacott-jp.com

王妃マルゴ 4 (愛蔵版コミックス)

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